種族闘争は、他の種族の征服からである。勝利を占めて征服者となり、他の種族は被征服者に陥る。密接な接触をするが、到底同化する事ができず、両極に分かれる。征服者は常に被征服者を蔑視し、あらゆる方法で奴隷化する。被征服者は、仕方なしに服従しながらも、暴力以外の一切を認めない。互いに敵視し反感する社会の両極を形作る。
不平等は、地位の不平等以上に、全く異なる種族は異なる言語や神を崇拝している。異なる風俗と習慣と制度を持っている。被征服種族は、それらを失うよりは、むしろ退治し尽くされる事を望んでいる。征服種族は、絶対的軽蔑をほしいままにしている。征服者が本当に被征服者を征服するための社会の諸制度が生まれた。
征服者は、絶えず兵力を用いる困難と費用および部分的失敗が一大負担となった。一時は勝利の誇りに駆られて、権威に対する反逆者を、見つかり次第に厳罰に処した。犯される行為を圧伏するための一般的規則を設けた。甚だ経済的なので、広い範囲の行為にも、一般的規則を設けた。この法律に服する事が被征服者の義務であり、違反にならない行為が権利とした。
同時に、征服者による教育が行われた。地位の不平等を維持するため、被征服者は劣等種族である観念を心中に増え付けねばならない。疑惑を挟めば、社会の安寧と秩序に大きな混乱を生じる。国民教育の起源にして基礎たる組織的に詐欺手段が行われた。種族の譲歩をさせ、空虚な誇りと諦めに陥り、両種族の間に皮相的詐欺を進めていく。
この征服の事実は、過去と現在から未来の人類社会の根本的事実である。この征服の事が明瞭に意識されない間は、社会の出来事も正当に理解できない。征服とそれに対する反抗を触れないで、日常生活まで圧迫してくる事実を忘却させ諦めさす組織的詐欺の有力なる手段である。