2016/09/19

戦争に生死の権利を握る首領

自分たちの身柄も財産も掠奪から守られず、目の前で土地を荒らされ、子供を奴隷に連れられ町を落とされないようにカエサルに援助を求めた。
カエサルに降伏の使節をよこすと、カエサルは人質と武器と奴隷を求めた。
勝った者が負けた者に思いのままの命令をするのは戦争の掟である。当たり前の状態をまもって年貢を納めている限り、不当な戦争はしないとおどす。
敵も最後の望みをかけて奮戦し、先頭のものが倒れば次のものは倒れたものの上にたって屍の中で戦い、これらのものも倒れると生き残ったものはさらに死体を積み重ねた。
兵士は命ぜられたとおり飛び出し、陣地を取るつもりで来たものを到る処で取り囲んで殺し、その野蛮人3万余りの3分1以上を殺し、その村の家をすべて焼き払った。
すべての若者、智略や名望のある年寄りは集り、町の護りようもなく、身柄財産をカエサルにあげて、元老をすべて殺し、残りは奴隷として売り払った。
カエサルに平和と友情を求めるのに対して、人質を差し出すように命じ、村と家とをことごとく焼き払い、穀物も刈り倒した。
ローマ軍の大軍に迫られると、塹壕の中に投げ込み、闘いながら死んだ、夜まで攻撃を支えたが、夜になると救われることを諦めて自殺した。
国境をできるだけ広く荒廃させて無人が最大の名誉である。隣が土地をおわれて去り、誰も住もうとしない、不意の侵入の恐れがなくなり、一層安全と思っている。
部族が戦争をしたり、しかれられて防いだりする場合には、戦争を指揮して生死の権利を握る首領が選ばれ、平和の時には一般の首領はおらず、裁判をして論争を沈める。

ガリウス・ユリウス・カエサル「ガリア戦記」