1.物語的歴史 歴史的素材を時と場所の順序で物語り満足する。素材は様々な方向に向かい種々の再現の形式が生まれる。政治、宗教、祭祀の目的のため、ある素材を確保し安全に後世に伝えようとする。民族が異なれば、歴史観や素材の再現は著しく相違する。意識して偽作的捏造される。
2. 教訓的歴史 過去の類似な歴史に明確な観念を与える。人間の本性と行為とは類似しているとして、政治の形成に対して教訓を与える。その教訓には道徳的、政治的、ことに愛国的傾向をとりやすい。一切を個人の衝動から解釈するで、偶然かつ不要な動機を加重するに至る明白な大欠点がある。
3. 発生的歴史 歴史の作用が相互関連して、歴史現象や時代の生成や作用を認識する。歴史の発生産物として把握するためには、精神文化総体が高度になるまで発展する必要がある。歴史は継続的に変化している。歴史の関係や活動は、因果関係と相互作用に寄るために、多くの時代錯誤が生まれる。
歴史の直接の観察が、認識の素材を唯一に与え、歴史事象の目撃や直接の見聞の限られた範囲だけである。歴史と離れられないのは、体験した事象の思い出(Erinnerung)である。思い出の真実は素質・年齢・体性にも素材の理解や関心、観察力に依存する。視界を離れ久しいと、思い出はかすかとなり歪曲も付け加わる。
歴史は素材を実に一度だけ直接の観察を受け入れる特性がある。各事象が演じ終われば知覚から消え去るやいなや、記憶の影像のみが心に残る。いかに直接の観覧や思い出も、写真や写音(Phonographie)のような忠実さで事件を再現できない。先入観や暗示は、関心、注意、知覚にさえ偏見で定め、盲目的に妄想誤解するに至る。時代全体の気分や党派心にも至る。