マヌ法典は、数多いインド法典中、最も重要な位置を占めている。インドで、ダルマすなわち「法」というのは法律だけでなく、宗教、道徳、習慣の遵守の根拠と認められた。紀元前200年の成立から紀元後200年に現形を整えた。
【王国の七要素】
294 王、大臣、首府、国土、実物、軍隊、及びその友邦は王国の七要素なり。ゆえに王国は七肢を有するものなりと言わる。
295 しかしてこの順序に従い、これら七つの王国の構成要素のうちにて、各々先に名を挙げられたるものは、後のものより重要にして、その破壊はより大なる惨禍なることを知るべし。
296 しかも苦行者の三杖の如く支えられたる七肢を有する王国において、如何なるものも各々の性質の重要さの点よりは、他より更に重要なるものは一つも存せざるなり。
297 されど、それぞれの目的の達成において、各々の部分は他より優位に在り、ある目的がそれによりて達成せらるる時、そはその点において最も重要なるものと宣べらる。