2017/10/17

Every nature shall separate from one another and dislike to enter the voids into the middle space.

 あらゆる物体は、互いに分離してその中間に見かけの空所のはいりこむことを、嫌悪する傾向を持っている。いいかえれば自然はこの見かけの空所を恐れている。あらゆる物体が有するかかる恐れ、もしくは嫌悪は。見かけの空所が小さいときよりも大きいときに、一そう甚だしいというようなことはない。いいかえれば、その中間の場所の大小の如何にかかわらず、一様の強さで、これを避けようとする。この恐れの強さには、しかし、限度がある。それは、一定の高さすなわちおおむね31ピエの高さの水が下方に流れようとする強さに相当する強さである。この見かけの空所に接している物体は、そこを満たそうとする傾向を有する。空所を満たそうとするこの傾向は、見かけの空所が小さいときよりも大きいときに、一そう強いというようなことはない。この傾向の強さには、おのずから限度がある。そしてそれは、一定の高さすなわちおおむね31ピエの高さの水が下方に流れようとする強さに、つねに相当する強さである。31ピエの高さの水が下方に流れようとする強さよりも、ほんの少しでも強さが増せば、この増しただけの強さで以て、いかに大きな見かけの空所をも生じさせるのに十分である。いいかえれば、この見かけの空所に対して自然がいだいている恐れのほかに、物体の分離や疎隔を防げるものが何も存在しないならば、増しただけの強さで、物体を分離させ、いかに大きな空間わも生じることができる。

フレーズ・パスカル (真空に関する新実験)「科学論文集」